私は、
Facebookは半年ほど前から登録はしていたが、アクティブユーザーではなかった。
しかし、映画「
ソーシャル・ネットワーク」を見てから、その経緯と設計思想に感銘を受けて、急速に興味を奪われた。
リンク:HP(
http://goo.gl/vxJQ)
実際、アクティブユーザーになってからは、多くの同級生や旧友と再会し、リアルに食事もした。
その威力、サイトの充実ぶりは使えば使うほど素晴らしさを実感する。
中には、数十年捜索した生き別れの家族が、一瞬で発見された例もあるらしい。
私が興味深かったのは、この本が
Facebook側に取材をして執筆されたものだという事だ。
どういう事かと言うと、映画「
ソーシャル・ネットワーク」は、
Facebookの立ち上げメンバーで、ゆくゆく訴訟によって和解にたどり着く、エドゥアルド・サベリンへの取材によって製作され、
Facebook側は一切関与していないのだ。
リンク:
Wikipedia(
http://goo.gl/qqRJJ)
要するに、この映画と本を見ることで、
Facebookの光と影のように、お互いの言い分が理解できるので、その描写の違いがとても興味深かった。
私が印象的だったのは3つ
<1> 戦略的にチラ見せをする事で、一気に勝負を賭けることが出来る
<2> 会社規模によって必要な人材とスキルは大きく変わる
<3> 信念は、実感を得て徐々に進化し、一気に加速する
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<1> 戦略的にチラ見せをする事で、一気に勝負を賭けることが出来る
Facebookは目先の買収話、広告収入には一切興味を示さず、サイトの充実に腐心した。
その買収や広告に応じれば、自分たちだけではなく、多くの社員も億万長者になれたのにも関わらずだ。
しかも彼らが素晴らしいのは、サイトの拡張も慎重だった事だ。
まずは、
ハーバード大学から。そして地域の大学へ。その次に近隣の大学。外国の大学。
そして、高校生、社会人。
ついにオープン化へ。
当初は排他的に始まったサイトの拡張は、サーバー負荷によるシステムダウンを考慮して、とても慎重に進められた。
こういったサイトは、サーバーがダウンしない事、表示スピードが速いことが絶対条件だった。
少しでもストレスを感じるような環境であれば、ユーザーは即座に退会してしまう、そういったシビアさを持っているためだった。
当初から使用できていた学生の間では、もはや日常的なツールになっており、その報道を受けて一般人は使用できる日を心待ちにしていた。
しかし、待てども待てども開放されない。
そして待ちに待ったオープンを向かえ、一気に中毒状態へはまり込む。
徐々に拡張したのがシステムの問題だったとはいえ、この戦略的「チラ見せ」が話題をさらい、熱狂的なユーザー獲得へつながったのではないかと私は思う。
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<2> 会社規模によって必要な人材とスキルは大きく変わる
スタートアップ企業の典型で、急速に会社が大きくなるに連れて、様々な人材と出会い、またすれ違っていった事が分かる。
一般企業でも、急速に伸びている企業では、往々にして社員の「出入り」が激しい。
その状態だけを見て、「あの会社はやばいんじゃないか?」という噂を聞くことがあるが、私は一概にそうは思わない。
(もちろん中には、単純な
ブラック企業もあるだろうが…)
なぜなら、その時の会社の規模や、状態によって人材に求めるスキルは全く変わるからだ。
私は、仕事における人の資質は大きく3つに分かれると思う。
(1)0を1にする資質(生み出す)
(2)1を100にする資質(拡大)
(3)100を維持運営する資質(標準化)
大きく3つに分けてみると分かりやすいが、この3つの資質はまったく違う資質なのだ。
起業当初に必要なのは(1)
拡大していくときに必要なのは(2)
運営していくときに必要なのは(3)
その過程の中では、大きな裁量を与えられ、賞賛を浴びる。
しかし、状況が一変すれば一気に窓際へと追いやられてしまう事も。
好き、嫌いの問題ではなく、その状況に対応するために、必要な人材は変わるのだ。
これでは人材の出入りが激しくてもしょうがないように思う。
Facebookも例外ではなかった。
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<3> 信念は、実感を得て徐々に進化し、一気に加速する
CEO、
マーク・ザッカーバーグは、「透明性のある社会」を理想としている。
要するに、自分の全てを公開し、人付き合いをする。
隠し事が無く、不正もない。
不正が起ころうとしても、その透明性が故に、厳しい監視の下、排除に向かう。
そんな社会だろう。
しかし意外なことに、
Facebook成長の過程で、
Facebookの成功に対して一番疑心暗鬼だったのは彼自身だった。
驚く事に、彼は
リスクマネージメントとして、他のビジネスモデルも同時進行させていたぐらいだった。
しかし、
Facebookの急速な成長によって、思考が進化し、彼自身もまた進化した。
内向的な彼が、人へのプレゼンテーションがうまくなり、社員とのコミュニケーションも向上した。
また、
Facebookの成功を彼自身が確信する事で、成功は一気に加速した。
こういった成功例を外から見るとき、「一人の天才がいて、最初から一貫してアイディアがまとまっていて、成功に導いた」ように思ってしまいがちだ。
しかし、彼らのアイディアや実行力が素晴らしいのは言うまでもないが、成功までの過程は普通の人と何ら変わらないのだ。
やっていく中で実感を得て、壁にもぶつかり、所々丸くなり、成功する。
こういった部分を知ると、人間味を感じる。
一般人も彼らから学べる事があるはずだ。
ソーシャルメディアの台頭によって、これから社会はますます透明化してくるだろう。
そうなった場合に不正は許されない。
ビジネスにおける日本社会特有の文化、根回し、ゴマすり、横取り、年功序列、派閥。
透明化によって全てが崩壊する可能性は十分にある。
こういった事も、「企業で生きていくためのスキル」ではあるが、今後こういった事に長けていこうとするのは非常に危険だ。
「企業人」としてではなく、本当の「個人」としてのスキルを磨いて、自立して生きていく時代が、本当に到来した事を実感した。