書評…心を整える。…ごく「普通」の人が、大きな結果を出している理由
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第1章 心を整える。
第2章 吸収する。
第3章 絆を深める。
第4章 信頼を得る。
第5章 脳に刻む。
第6章 時間を支配する。
第7章 想像する。
第8章 脱皮する。
第9章 誠を意識する。
最終章 激闘のアジアカップで学んだこと。
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サッカー日本代表の長谷部誠選手の著書。
派手さのある選手ならまだしも、長谷部選手のようなどちらかと言うと優等生な選手が、なぜ本を書いたのか、そして売れるのかどうかは気になっていました。
そしたら、あれよあれよと言う間に、111万部の大ベストセラーに。
完全に乗り遅れた感満載で、本を購入し読み始めました。
また、「心を整える。」と長谷部選手のイメージどおりのタイトル(笑)
『心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、常に力と結果を出せる秘訣だ。自分自身に打ち勝てない人間が、ピッチで勝てるわけがない。』のだと。
とにかく心に残って、しかもすぐに実践できる事ばかりです。特に心に残った部分をメモりまくりましたので、書いていきたいと思います。
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■意識して心を静める時間を作る。
部屋に戻る。電気をつけたままにして、ベッドに横になる。音楽もテレビも消す。そして目を開けたまま、天井を見つめるようにして、息を整えながら全身の力を抜いていく。
壁の模様を見て、ひたすらボーッとしていてもいいし、頭に浮かんできたことについて思考を巡らせてもいい。大事なのはザワザワとした心をメンテナンスしてあげるのだ。
■決戦へのスイッチは直前に入れる。
「もしかしたら、自分はあまりイメージトレーニングをしすぎると、本番前に冷静さを失ってしまうタイプなのかもしれない」という事だった。
■整理整頓は心の掃除に通じる。
きれいになった部屋を見たら、誰だって心が落ち着く。僕は心がモヤモヤした時こそ、体を動かして整理整頓をしている。心の掃除もかねて。
■マイナス発言は自分を後退させる。
愚痴だけでなく、負の言葉はすべて、現状をとらえる力を鈍らせてしまい、自分で自分の心を鈍らしてしまう。心を正しく整えるためにも愚痴は必要ない。
■お酒のチカラを利用しない。
よくお酒が入ると相手の本音を引き出せるとも言うけれど、そういう考えも好きじゃない。お酒の力を借りないと本音を言い合えないという関係がそもそも嫌だし、そんな状態で出てきた本音に価値を見出せない。
■孤独に浸かる-ひとり温泉のススメ-
孤独な時間だからこそ、できる事がある。自分にとって本当に大切なものは何なのか。そういう自分と向き合う時間を作るのに、「ひとり温泉」はうってつけなのだ。
イギリスの文豪 トーマス・カーライル
「ハチは暗闇でなければ蜜をつくらぬ。脳は沈黙でなければ、思想を生ぜぬ」
■真のプロフェッショナルに触れる。
カズさんはみんなでご飯を食べていても、自分が決めていた時刻になったら、「じゃあ、明日練習だから」と言って帰っていく。周りに流されず、長居はしない。やはり長く現役を続けている選手には理由があると思った。
■偏見を持たず、まず好きになってみる。
あまりに失礼なことがあったら距離を置けばいい。ただ、最初から食わず嫌いで近づかないと、自分自身が損をしてしまう。
■群れない。
僕はみんなで食事に行くのは嫌いじゃない。(中略)
ただし、いつも同じメンバーで食事に行くとなると話は別だ。同じメンバーだと結局、最後は「愚痴大会」になってしまうという印象があって、そういう不満の解消法は好きではないからだ。
■組織の穴を埋める。
確かに組織のためにプレーしようという意識と、自分の良さを出したいという欲がぶつかって、葛藤が生まれることもある。けれど、「自分を殺すこと」と「自分を変えること」は違う。
■競争は、自分の栄養になる。
競争は成長するための栄養のようなもの。楽しいことばかりじゃなく、つらいこともあるけれど、逃げずに向き合い続ければ体の隅々までその栄養が行き渡る。
■常に正々堂々と勝負する
普段から正々堂々と勝負していれば、たとえまわりから陰口が聞こえてきたとしても、まったく気にならない。逆にそういうことを言う人をかわいそうだなと感じる。(中略)
ゴマスリや媚は自分の覚悟を鈍らせてしまう。
■運とは口説くもの。
代理人ロベルト佃氏
「スペイン語で運(la suetre)は女性名詞。だから、アルゼンチンの人たちは「運を女性のように口説きなさい」と言うんだ。何も努力しないで振り向いてくれる女性なんていないだろ?それと同じで、運もこちらが必死に口説こうとしないと振り向いてくれないんだ」
■読書は自分の考えを進化させてくれる。
試合に負けて気分が沈んでいるときも、逆に試合に勝って高揚しているときも本を読むと心が落ち着く。負けたあとなら、乱れた気持ちを整えてくれる。勝ったあとには、浮ついた気持ちを抑制してくれる。
■夜の時間をマネージメントする
「寝るまでの一時間」の使い方に徹底的にこだわった。「いい睡眠」に自分を持っていく行動パターンができていれば、大一番の前日にも自然と眠れるはずだと考えたからだ。
①リラクゼーション音楽を流す
②お香を焚く
③高濃度酸素を吸う
④特製ドリンクを飲む
⑤アロマオイルを首筋につける
⑥耳栓をする
■音楽の力を活用する。
音楽には不思議な力がある。
ひとつの曲でも、あるときは心を鎮めてくれたかと思えば、あるときは心を奮い立たせてくれる。歌詞やメロディは同じはずなのに、聴く状況が異なると感じることも全然違うのだ。
■常に最悪を想定する。
最悪のケースを考えるというと、何だか悲観主義者のように思われてしまうかもしれないけれど、僕はそうは思わない。最悪を想定するのは、「失敗するかもしれない」と弱気になるためではなく、何が起きてもそれを受け止める覚悟があるという「決心を固める」作業でもあるからだ。
■勝負所を見極める。
「脳に悪い七つの週間」(林成之著 幻冬舎新書)日本競泳チームのメンタルトレーナー
「ラスト10メートルを「もうすぐゴール」と意識するのではなく、「マイゾーン」として、自分が最もカッコ良くゴールするための美学を追及しながら泳いで欲しい。」
■他人の失敗を、自分の教訓にする。
周囲の様子、傾向、失敗を自分に置き換えて、自分の未来を想像することも必要だと思う。「自分だけは大丈夫」。そこに明確な根拠は何も無い。
■変化に対応する
「正解はひとつではない」「考えは生き物。常に変化していい」
■迷ったときこそ、難しい道を選ぶ
道に迷ったときは、「どちらが難しいか」を考えると同時に、「どちらが得るものが多いか」も考えるようにしている。たいていの場合、「難しい道」と「得るものが多い道」は一致するが、そうではない場合もある。それは自分が今いる場所で、まだ何かをやり遂げたとは言えない場合だ。
■正論を振りかざさない。
人にはそれぞれ価値観があって、絶対的な正解なんてない。何かを伝えるときはまずは相手の気持ちも想像しなければいけない。
■感謝は自分の成長につながる。
感謝する能力は意識次第でいくらでも伸ばせるし、それに感謝は自分のためでもある。もし自分が感謝の気持ちを忘れなければ、まわりがどんどん自分にポジティブなエネルギーをくれるはずだ。
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読んでみると、「心を整えすぎだろ!」とツッコミたくなるほど、きっちりと色んなルールを作って実践されています。恐るべき27歳。。。でも、この行動が今の成功に繋がっているのだと感じました。
ご自身でもそれに触れられてますが、長谷部選手はサッカー選手としては、特にこれといった特徴がある選手ではありません。必殺フリーキックのような代名詞の武器があるわけでもありません。
でも、彼はあらゆる指揮官に重宝される日本代表の中心人物で、ワールドカップからはキャプテンも務めています。
見ている側からすれば、派手な選手の方が面白いし、求心力もありそうな気がするのですが、長谷部選手がなぜそんなに重宝されるのかはずっと疑問でした。むしろ、浦和レッズ時代の方が攻撃的MFとしてガンガン攻めてましたしね。
でもそれも環境が変わるごとに、自分に求められている事、自分ができる事を見極めながら、その類まれなるメンタルコントロール力を発揮する事に、理由はあったようです。
メンタルコントロールは、お金をかけずにすぐに実行できます。一般人でも、この中のいくつかでも習慣化できれば、仕事でももっと大きな成功を収められ、プライベートも充実するはずです。
これは後から知ったことなのですが…
この本の印税は全額、ユニセフを通じて東北大震災からの復興の為に寄付されるんだとか。。
全く恐れ入った。でも、貢献できてよかった。