書評…憂鬱でなければ、仕事じゃない…多くの人が見落としてる(と思われる)重要な事
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第一章 人としての基本
第二章 自分を鍛える
第三章 人心を掴む
第四章 人を動かす
第五章 勝ちに行く
第六章 成功への動機付け
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これは、本当に久しぶりに素晴らしい本でした。
通常の本の厚みの中に、お二人の考えが書かれているので、読む前は多くの自己啓発本にありがちな「内容が薄い」のかな?と思っていたのですが。。
とんでもない。
非常にシンプルな言葉の中に、仕事の真理が詰まっており、多くの自己啓発本が軽薄に見えるインパクトです。
正直言って、私自身がこのお二方と一緒に働くことを想像すると「避けたい」と思ってしまうかもしれません(汗)
<まとめ>
1.小さなことにくよくよしろよ
「神は細部に宿る」という建築家の言葉は、仕事にも当てはまる。
つい見過ごしてしまうものにこそ、事を左右するカギがある。
→これは本当にその通り。
日本のビジネスシーンでは、「調べておきます」「考えておきます」がお断りのセリフであるように、言葉が言葉として機能していない場面があり、しかも多くの場合それは容認されています。
でも、冷静に考えるとこれは「ウソをついてる」ことになるので、細部を甘く見ていることに繋がると思います。
2.自己顕示と自己嫌悪は「双子の兄弟」
人間は、誰しも多くの矛盾を抱えているが、それは最強の武器になりうる。
→自己嫌悪とは、自分を客観的に見る目の事だと思います。
だからこそ、その瞬間は「正しい」と信じていたことも、冷静に振り返った時に嫌悪するほど反省できる。
でも、この行為が出来ない人は意外に多いと思います。
いや、振り返ってるつもりで、実はそこまで自分を見つめていないか…
3.これほどの努力を、人は運という
「運がよかった」は、謙遜でのみ使うべきだ。断じて他人をこう評するべきではない。
その言葉は思考を停止させ、努力を放棄させ、成長を止めてしまう。
→人は自分の想像を超えたことに出会うと、「運」「才能」といった言葉を多用します。
なぜかと言うと、今の現状に不満があったとしても、「自分には運や才能がなかっただけ」という事で、ひとまずの結論をだす事が出来て、安心出来るからです。
自分が安心するために、人を曖昧な言葉で表現するのは、失礼極まりない行為です。
4.憂鬱でなければ、仕事じゃない
憂鬱を好む人間などいない。しかし一方で、憂鬱は大きな反発力を生む。
それに気づいた時、憂鬱は間違いなく仕事の糧となる。
→仕事が楽しいのは良い事です。
しかし、成長を望むのであれば、その状況を振り返ったほうが良いかもしれません。
なぜなら、自分が出来る範疇の事「だけ」をやっている可能性があるからです。
もしそうであれば、成長や向上は望めません。
逆に、憂鬱に感じているのであれば、未知の分野、未知の規模にトライしようとしている場合だと思います。
そんな仕事を乗り切った後は、大きな反発で一気に成長します。
5.ヒットは地獄の始まり
「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という言葉には、確かに含蓄がある。
しかし、こと仕事に限っては、うまく行けばいくほど、やらなければならない課題は多くなる。
ほどのよいところで終わりにするか、更にもっと高い壁を自分で作り出して乗り越えるか。
それは、その人自身にゆだねられている。
→小売業でもメーカーでもそうですが、ヒット商品が出ると守りに入って止まってしまうんですよね。
そんな会社は、一発屋で終わったりとか、同じ商品の命が尽きるまで細々と運営するかになります。
ですが、伸びてる会社というのは、ヒット商品が出た時に、それに被せるぐらいで次の商品を投入してきます。
Appleなんかは良い例ですよね。
生み出すのは苦しい仕事です。保証も何もありません。
ヒット商品を出すという事は、そんな螺旋に踏み込むことでもあります。
6.顰蹙(ひんしゅく)は金を出してでも買え
慣例に従っていたり、常識にとらわれたりしていたら、新しいことは起こせないと、
今でも思っています。変革を恐れない者だけが、先に行ける。
とどまったままでは未来は無いと思います。
→顰蹙はできれば買いたく無い、誰しもそう思います。
しかし、みんなに納得されてる時点で、大したことをやっていない可能性があります。
裏を返せば、顰蹙を買うということは、「先を行ってる」事を意味するのではないでしょうか。
珠玉の一冊と言ったところです。
中には、「古い?」「堅い?」と思うような内容もありますが、真理とはそういうものですし、今多くの人が見落としてるからこそ大事な事だと思いました。
何回も読み返したいです。