シルタス!

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今日の脳カツ 14.NBA デリック・ローズ選手に見る「既成事実にする力」

NBA プレイオフに突入するこの時期、個人的に応援していたシカゴ・ブルズのデリック・ローズ選手が、昨日の試合で前十字靭帯断裂の大けがを負い、プレイオフはおろか、ロンドンオリンピックまで欠場することになった。これを機会に、彼の印象的なエピソードについて考えてみたい。 デリック・ローズは昨シーズンMVPを取るほどの選手だ。彼を知っている人は、彼がプロスポーツ選手らしからぬ謙虚で控えめな人柄であることを知っている。しかし一たびプレーをし始めると、ゲームを支配する圧倒的な実力があることも知っている。永く低迷していたシカゴ・ブルズ復権の立役者だ。 昨シーズン、そんなローズに驚かされた。それはシーズン前の記者会見で、「なぜ自分がMVPではいけないのか?を考えたんだ」と発言したのだ。これを聞いて、ん??と思う人は多いはず。つまり彼は、バスケに全てを捧げている自分が、なぜベストプレイヤーに選ばれないのかを考えたというのだ。 ローズの謙虚で控えめな立ち振る舞いから、このセリフは決して「傲慢さ」からくるものでは無い事が分かる。それは彼にとってシンプルな疑問だったんだろう。もっと驚かされたのは、その発言をしたシーズンに、いつも以上の大車輪の活躍を見せ、本当にMVPを選ばれてしまったことだ。もう驚愕だった。 ローズの中で自分がMVPになる事は、目標や夢ではなく、もはや既成事実だったのだと思う。だからこそMVPに選ばれてない自分に、「違和感」を感じていたんだと思う。これは「イメージトレーニング」などの概念を超越している。「頭の中にある現実」に対して、「実際の現実」が追いついてくる。 そんな超人のようなローズが、昨日の試合で大けがを負った。人生に良い時も悪い時もあるのは、著名人であっても、有名選手であっても、一般人であっても同じだ。著名人たちを尊敬すると同時に、その事実は我々を安心もさせてくれる。でもローズが持っているイメージの力こそ見習いたい部分である。 彼は恐らく、「いま怪我をしている自分」に違和感を感じているだろう。そして約半年後に全快で戻ってきた時には、更に強くなっているはず。なぜなら、ローズの中では「優勝」も、もはや頭の中では既成事実になっているはずだからである。後は、「実際の現実」が追いついてくるように行動するだけだ。 スポットライトが当たらない部分でも、当たっている時と同じ思考、いやそれ以上の思考で行動できる人こそ、本当に成功できる人だと思う。「既成事実にする力」を自分の参考にしつつ、いかにも人間らしい光と影を見せてくれた彼の今後に期待したい。