シルタス!

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書評…ユニクロ帝国の光と影…独裁って悪い面ばかりでは無いと思う

--------------------- 序章 独自調査によってメスをいれる 第1章 鉄の統率 第2章 服を作るところから売るところまで 第3章 社長更迭劇の舞台裏 第4章 父親の桎梏 第5章 ユニクロで働くということ 国内篇 第6章 ユニクロで働くということ 中国篇 第7章 ZARAという別解 第8章 柳井正に聞く 終章 柳井を辞めさせられるのは柳井だけだ --------------------- かつてアマゾンジャパンの物流倉庫にアルバイトとして入り込み、知られざる労働環境の実態を『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)で初めて明らかにした、フリージャーナリストの横田増生氏が、日本の勝ち組企業の代表であるファーストリテイリングを率いる柳井正社長を取材した内容が記されています。2011年3月に発行された本書はは3万部を超える勢いで、企業ノンフィクションとして久しぶりのヒット作となったようです。 しかし… その生々しい内容に「大丈夫かな? これ?」と思いながら読み終えて調べてみると、案の定その後はユニクロから訴訟を起こされてるようですが… ユニクロ、文芸春秋を提訴 損害賠償2億2千万円求め東京地裁に  リンク:MSN産経ニュース(http://ow.ly/8eAb5) 柳井氏のワンマンぶりと、協力工場で働く人、ユニクロ商品を買う人の格差などを強調していますが、正直、この辺はビジネスをわかっていない人の目線という気がしました。全てを同じ土俵で比較評価することなどできないからです。起業家で成功者である柳井氏と中国の工場で低賃金で働く労働者を比較するとすれば、それは柳井氏を「悪」と評価したい場合にのみ有効だと思います。 企業が大きくなるのは、必ずこういった光と影や、痛み、人の反感を買っているものですが、そういう面は本当に良く取材されていて面白かったです。批評と言うよりも、ドキュメンタリーですが… しかし注意しなければいけないのが、取材対象がユニクロを退職した人に限られているため、どうしてもユニクロに対するネガティブな側面ばかりがクローズアップされています。退職した人は、前の会社をなかなかポジティブには評価しないもんですからね。その点だけご注意を。 柳井氏の「独裁」について。 「独裁」は凄い悪い事のように言われますし、実際すごい悪い面もあります。ドイツのヒトラーや数あるテロ組織、それらはその典型でしょう。一歩間違えれば、人を狂気に走らせたり、保身のために人を陥れるようになります。 最近であれば、大阪市長に当選した橋下市長もそのような評価を下されています。 しかし、民主的に穏便に進めて何が変わるのでしょうか。日本が民主主義とはいえ、色んな方面の顔色を伺いながら、「みんなが納得」するプロセスを踏んで進めてきた結果が今の日本という国です。 現代の政治に目を向けても、そこから変えようとしても、出来るだけ民主的に進めようとする結果、何も進みません。会社でも同じで、会議を繰り返して、説得を繰り返して、みんなが納得する頃にはもはや手遅れなんですよね。 国民のあり方を見ても、「劇的に変えて欲しいけど、僕が納得するようにね…」という都合の良いあり方になってるような気がしますね。一時的な痛みは我慢しなければいけない時期に来てると思いますが… 私は、橋下市長のようなリーダーを支持します。 嫌われても、反感を買っても、自宅に右翼が押しかけてこようとも勇気を持って変えていこうという姿勢。こういった強いリーダーの存在が今後の日本には必要です。 何が言いたいかというと… 後継者問題さえ意識していれば、一時的な独裁は悪い事ばかりではないということです。実際のところユニクロは日本でのファストファッションの概念を変えましたし、「安かろう、悪いかろう」という市場の概念を変えました。「安くても高品質なもの」を提供する事によって、昔はタグを切ってまで着られていたユニクロを、「行きたい!」と思わせるブランドまで押し上げました。この点は評価すべきところではないでしょうか。 ユニクロの繁栄の背景や事実を知るため、これからの時代の流通のあり方を勉強したい人にはオススメの一冊です。