シルタス!

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元「中の人」が暴露します:化粧品業界にいたけど質問ある?

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どうもシルタス!のJazzy-Tです。

部屋を一気に掃除して、不要品を処分しまくったら寂しさに磨きがかかりました。

 

さてさて。

こちらを読みました。

みんなに知ってほしい、腐った化粧品OEM業界と化粧品の本質の話 | BLOG HOMME http://ow.ly/soYby

 

ピーチジョン野口美佳さん(@mikajohn)息子さんである、“のぐたく”こと野口卓也さん(@nogutaku)のブログです。化粧品業界の「ものづくり」におけるプロセスを、なかなか過激に書いておられますが、おおよそその通りです。

 

のぐたくさんはものづくりをメーカーに依頼する「クライアント」の立場から見てこの内容を書かれていますが、ほぼ内部事情まで含めて自分で考察しているので、すごい観察眼だなと感じました。

 

ぼくは13年間サラリーマンをやってきましたが、そのうち10年は化粧品業界にいましたので、そういう意味では「元:中の人」です。2ちゃんねるでよく見る「◯◯だけど質問ある?」のような感じのタイトルですが、質問を受けずに書いていきます(笑)

 

化粧品業界と一口に言っても、「売る会社」「作る会社」があります。

(*ぼくはこの両方の会社にいました。)

 

大手化粧品会社になると、自社で工場を持っていて「売る会社」と「作る会社」を兼業していますが、工場を持つとなると莫大なコストがかかるので、ある一定以上の規模にならないとその実現は困難です。

 

じゃあどうするか?と言うと、のぐたくさんのブログにも登場するような「化粧品OEMメーカー」に委託するのです。「化粧品OEMメーカー」とは「作る会社」を専業でやってるメーカーのことです。

 

CMに登場するのは「売る会社」の方で、資生◯さんやら花◯さんとかですよね。でもこの「作る会社」が表舞台に出ることは基本的にありません。あるとすれば「製造販売元」として商品の裏面に会社名が印字されるぐらいです。

 

化粧品には「製造販売元」という薬事法の許可があって「販売する化粧品の製造から販売までの責任を持つ」という資格なのですが、これを取得するのはいくつか条件があるので、それを満たさないと取得ができません。(大手はだいたい自社で資格を取得しています。)

 

のぐたくさんの会社もそうされてるようですが、自分で資格を取得できない「売る会社」の人たちがどうするかと言うと、「作る会社」のメーカーは、大抵その資格を持ってるので、その資格を「借りる」ことになります。そのケースのみ「製造販売元」として「作る会社」の名前が表に出るわけです。

 

基本的なところはそんな感じです。

ではぼくが長く化粧品業界に勤めてきて、しかも「売る会社」と「作る会社」の両方の立場から見た、化粧品OEMメーカー(作る会社)の内情を書いてみます。

 

 

<「作る会社」の良いこと>

在庫リスクがない

「作る会社」って基本的に「受注生産」なんです。

 

つまりお客さんからの注文がないと製造をしない。

業界によっては「売る会社」の年間計画に沿って自主的に生産を進める業界もあるようですが、化粧品OEMメーカーの場合はそれがありません。(契約条件で特例はあり)

 

だから売れるかどうか不確定要素の多いものを製造するのではなく、クライアントからの注文があって始めて「使うものを仕入れる」「売れるものを製造する」ので、在庫リスクがありません。そして取引条件はおおよそ「一括納品」です。

 

「売る会社の人」たちは、売れるかどうかも分からない化粧品を数千個単位で仕入れて、売れた分だけ出荷することを考えると、「作る会社」は“夢のような商売”をしています。

これはメーカーとしては非常に大きいです。

 

ええ感じに儲かる

化粧品が「水商売」と称されるように、原価率は他業界に比べると余裕があります。

 

ただ近年は化粧品OEMメーカーの競争も、そして「売る会社」の価格競争も激しくなっており、そして会社ごとの商品コンセプトや定価にもよるので一概には言えませんが、食品や雑貨業界などの悲惨な状況を聞くと「まだマシ」です。

 

工場を持っている分、そこに人件費と固定費がかかりますが、年間通してたくさんの品種の注文をもらうことができれば儲かります。ただ、のぐたくさんも書かれていますが、単価が安いので「ボロ儲け」ほどにはならず、堅実な商売と言えるでしょう。

 

よっぽどのことがないと主要顧客に捨てられない

これも重要です。

 

「売る会社」の中には「原価を安く抑える」ことに全力を注ぐがために、化粧品OEMメーカーを取っ替え引っ替えする会社もありますが、それは利益を確保するのには当たり前の企業努力と言えます。

 

ただそれは意外に稀で「よっぽどでっかいクレーム」をやらかすか、「上層部の退任や新任で懇意にしてるメーカーを入れ替える」とかそんな特別なケースでもないと化粧品OEMメーカーを変えることはありません。

 

なぜなら「原価」も大事ですが、化粧品は「使用感が命」だからです。

いまA社で製造している化粧品をB社に移行すると、間違いなく使用感に「微妙な差」が生まれます。

 

売る側の担当者から見たら「この程度の誤差ならまぁいっか♪」な差であっても、ヘビーユーザーからしたら致命的なものに映るリスクが有ります。それほど日々その化粧品を使ってる女性の肌は敏感です。

 

 

<「作る会社」の悪いこと>

新しい技術は追い求めない(でてきたとしてもつまんない)

これはね、業界問わず製造メーカーにありがちな思考なのですが、意外と新しい技術を求めないんですよ。

 

もちろん上層部から言われて着手することはあるんですが、現場が求めるのは基本的「新しい技術(チャレンジ)」よりも「間違いのないもの」です。「新しい技術」を自分が導入してその後不具合でも起きようものなら、責任を取りたくないからです。

 

まぁ仮に出てきたとしても、「作る会社」の目線ででてきた新しいモノはつまらない場合が多いです(失礼)

 

「自分は企画力がある」と勘違いしてる人が多い

これがスゴイ鼻につくんですよ。

 

化粧品OEMメーカーの営業は開発の人は、当然ながらクライアントである「売る会社」に打ち合わせで出入りすることが多いんです。

 

つまりその担当者はいろんな会社の「開発コンセプト」を聞くことになり、「その後の売れ行き」を知ることになります。

 

その経験の蓄積が、単純に自分のデータベースをなって良いカタチで仕事に活かせればいいですが、これを「自分の企画力(実績)」だと混同する人が多いんです。

 

例えば「作る会社」として「売る会社」A社のモノづくりに携わったとして、それが売れたら、B社に訪問した時に「いやーー先日某社さんでプロデュースしたこんな商品がメチャクチャ売れまして・・・」みたいな感じです。

 

いやいや・・・

企画したのは「売る会社」の担当者さんであって、あなたではないですから。

味付けはしたかもしれないけど、素材を仕入れてきたのはあなたではありません。

(のぐたくさんのブログにある「いやぁそれは売れないと思いますよ」と説教して帰ったおっさんは恐らくこれです。)

 

ぼくは「作る会社」から「売る会社」に転職した際にこれを痛感しました。

「素材を仕入れる(イチから企画する」のと、「味付けをする(その企画を微調整する)」のは全く違うのです。

 

結局はルート営業みたいなモン

良いところに書きましたが、化粧品OEMメーカーは「よっぽどのことがないと主要顧客に捨てられない」という側面があります。

 

なので新規クライアントを増やしていくことも会社としては重要ですが、やはり売上の大半を占める「既存クライアント」のご機嫌を損ねないようにする必要があります。

 

新規クライアントを捕まえに行くよりは「既存クライアント」を大事にする方が実は大事だと考えると、新規の会社には冷たく、既存の会社には手厚すぎるぐらい手厚い、という対応になります。

 

(会社によっては、ぼくの目の前でツバでも吐きそうな対応した後に、大手の担当者の前に行ってペコペコしてるぐらいアカラサマナ人もたくさんいましたから・・) 

 

そんなわけで・・・

どの業界でも大なり小なり良いところ、悪いところはあるわけですが、華々しく見える業界の裏では意外にドロドロした実情があります。

 

のぐたくさんお疲れさまでした。

BULK HOMME使ってみます。

 

〜関連リンク〜

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