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書評…企画の「虎の巻」…企画とは「組み合わせ力」

------------------------ 第一章 企画会社のコンセプト 第二章 企画の規格化 第三章 企画のポジショニング 第四章 Tポイントの5つの戦略 第五章 世界一の「企画人間」の条件 第六章 「企画」セオリー20カ条 ------------------------ 歴史に名が残るぐらいの風雲児であるにも関わらず、あまりメディアに露出しない人物。 CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の代表取締役で、TSUTAYAビジネスやTポイントなどの新しいビジネスモデルを築き上げた増田宗昭氏の著書です。 知らなかったのですが、CCCはTSUTAYAを運営する会社ではなく、あくまで「企画会社」だそうです。なので、社内ではTSUTAYAとは全く関係のない企画が飛び交っているそうです。 個人的に気になったのは「プロダクトアウト」「マーケットイン」という言葉です。これは何となく分かっているようで、分かっていなかった言葉ですね。 「プロダクトアウト」 供給者が見込み生産した商品を消費者に売るというイメージで、昔からある形態ですよね。供給者が大量に作って、それをいかに売るかを考えて、消費者に提供する。見方を変えると、これは消費者が本当に必要としているのではなく、あくまで「提供者側の都合」でもあるわけで、モノが不足していた時代の売り方だと思います。 「マーケットイン」 消費者のニーズをつかむ、もしくはまだ見ぬニーズを予測して、それにあわせて製品を製造・供給するという手法です。モノが溢れている現代の売り方ですね。 どちらが良い、悪いではなく、これだけモノが溢れている時代だと、企業側の都合で用意された商品などに誰も見向きをしません。しかも、多少の誇大広告をしたところで、インターネットで検索すればもっと質が良くて、しかも安いモノをワンクリックで買うことが出来ます。 これからの時代にはどちらが必要なのか?を考えてみると… 一見すると「マーケットイン」のように感じますが、著者はこの事について触れられています。 「これからのビジネスで求められるのは『プロダクト・アウト』です。『プロダクト・アウト』では、企業サイドが、『この商品こそが世の中の人々が求めているものだ』と開発した商品を顧客に届けるビジネススタイルのことをいいます」 「言い換えると、前例のない中でやりきることだと私は思っています。そして、この『プロダクト・アウト』ができる人こそが、これから求められるのではないでしょうか。」 分かりやすいのでAppleを例に出してみます。 Apple恐らくマーケットリサーチなんかされてないですよね。。自分たちが提供できる最高の価値のものを生み出して、それを消費者に提供していると思います。iPadだって最初は「なにこれ?」「いやいや必要ないでしょ」という論調でしたが、今や生活に欠かせない人がどれだけいる事でしょう。要するに、ニーズ自体を作り出しているんですね。逆に言うとマーケットリサーチをしていれば、iPadは生まれていないと思います。 一昔前の「プロダクトアウト」と違うところは、何を作っても売れるわけでは無いという事です。それこそバブルの頃は、粗悪なものが高額で売れました。それは、消費者がお金を持っているので、あまり商品の品質や機能が吟味されないからです。しかし現代社会は、消費者がお金を持っていないうえに、モノは溢れ、情報も溢れています。本当に価値のあるものでなければ、一発でバレて大量在庫… そんな結末が見えますね。 モノに限らず、情報、イベントなど。これから様々な分野でこの企画力が必要になります。しかし、少しばかり朗報なのは、企画とは「組み合わせ力」だというところで、つまり「一から発明する」行為ではないという事です。「企画」というと「そういう職種の人がやる、何か敷居の高いもの」のように感じますが、今世の中にある人気商品も、実は色んな技術などのリソースを組み合わせた結果として生まれているものです。Apple製品もよくよく分解していくと、コアな技術や機能は全て他社開発のものです。ここがポイント。 まずは情報を大量に浴び続ける。 そして次のステップでそれをどう組み合わせていくかを考える。 そんな日々の積み重ねが、数年後の「企画脳」を生むのではないでしょうか。 うんうん。