シルタス!

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書評…弟…実直な男たちが魅せる、本気の人付き合い

----------------------- 目次が無いため割愛 ----------------------- 現在の東京都知事である石原慎太郎氏が、実弟である故石原裕次郎について初めてその全貌をて書いた著書です。石原慎太郎氏曰く、この兄弟関係は「タッグマッチ」のようだったのだとか。読み終わってみて、「確かに」と静かに納得しました。 僕は年齢的なこともあり、1987年7月17日に亡くなった故石原裕次郎についてはあまり知りませんでしたし、そして特に知ろうともしてませんでした。そして、石原軍団から連想できる「豪快」「男気」「熱い」そんなイメージぐらいしか持っていませんでした。 でも、この本に出会えてよかったです。 それは、裕次郎のキャラクターや生い立ちを知れたからではなく、自分のあり方と人間関係を見直すきっかけをくれたからです。 一つのエピソードがあります。 裕次郎が死の淵を彷徨っていた後、何とか一命を取り留めてICUから一般病棟へと移されたのですが、未だ全身に管が通り、4日間も麻酔で眠らされていたそうです。そんな状態の折に、何とか病院へ見舞いへ駆けつけた慎太郎氏が。医師の呼びかけでこん睡状態から何とか少しずつ目を覚ました裕次郎は、当然話せる状態ではなかったため、筆談を促しました。医師が慎太郎を指さして、「この人誰だか分かる?」との問いに、ゆっくりと紙にペンを走らせ、慎太郎に手渡しました。そこには… 「アニキノマヌケヅラ」 と。 その場に思わず笑いが起こったそうです。 僕はこれを読んで、本当の優しさ、本当の愛情ってなんだろう?と思いました。 自分に置き換えて考えてみます。自分が生死の淵を彷徨った挙句に、未だに全身に管が通り、こん睡から目覚めたタイミングで、なお心配させぬように一瞬で相手を気遣えるだろうか。いや、できないでしょう。 それは、心の奥底から相手への愛情や思いやりがあるからこそ、そんな状態でも自然と相手を気遣える。「細胞が反応する」そんな感じではないでしょうか。 本当の愛情、優しさとは、辛そうにしてる人に向かって「大丈夫?」と声をかけることではありません。世間一般では、そういう人が「優しい」とされる傾向にありますが、実はそれはものすごく表面的な行動です。一緒に行動し、時には厳しく接しながら最終的な自立を促す。そういうやり取りを経て、本当の愛情と友情につながると僕は信じています。そう、最終的に「自立を促す」ことです。それは時間がかかるので長い目で見る必要があり、我慢も必要です。しかし瞬間的に声をかける程度であれば、本質は何も改善されず、その人は後日また同じ問題に苦しむでしょう。 さて、どちらが本当の愛情でしょうか。 慎太郎と裕次郎は、そうやって人付き合いをしてきたからこそ、彼らの周りには強固な人間関係が今もなお継続しているのでしょう。もちろんその実直な生き方から、それに比例するようにアンチも多いです。しかし裕次郎に至っては、亡くなってから現在までも石原軍団なるものが存在し、その存在の大きさがうかがい知れます。 「本気の人付き合い」について、ここらで本気で見直そうと思った一冊です。