書評…評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会ってい…新しい評価の仕組みの中で…
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第1章:貨幣経済社会の終焉
第2章:パラダイムシフトの時代
第3章:評価経済社会とは何か?
第4章:幸福の新しいかたち
第5章:新世界への勇気
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本書は、岡田さんが1995年に刊行した「ぼくたちの洗脳社会」の加筆・改定版だそうです。
この本の本題は、今起きている1000年に一度のパラダイムシフトについて。
ほんの数年前まで、「オタク」というとネガティブなイメージでサブカルチャーの辺境にいたはずなのに、いつの間にかメインストリームで世の中の動きを語ってますよね。そういった人たちがFacebookのようなサービスを生み出し、Coolな存在として君臨しています。
これこそが、社会の変容をあらわしていると思います。そして著者は、自身の受け入れられ方の変化を通して、世の中を感じ取ってきたのでしょうか。
<パラダイムシフトの歴史>
始代:モノ否定、精神性優位の文化 ⇒ 農業革命
古代:モノ余り、領土・エネルギー不足 ⇒ 「モノへの関心・欲求」が否定的イメージへ変化
中世:モノ不足、時間余りの時代 ⇒ 産業革命
近代:モノ余り、時間不足の時代 ⇒ 情報革命
現代:モノ不足、情報余りの時代
これは「ネット社会」などという表面的な変化ではなく、貨幣経済が終焉し、評価経済社会へと変わる本質的な転換です。
今までは貨幣経済社会で、「貨幣」を仲介にして「モノ」「サービス」が交換されました。
一方、これからの評価経済社会では、「評価」を仲介にして、「モノ」「サービス」、そして「カネ」が交換されます。
この評価経済社会で大切なのは、イメージ。
明暗を分けたSONYとAppleについても、この切り口で説明されています。
SONYは、評価資本で稼いだお金を、金融資本獲得のために使った。
その結果、持っていたブランドイメージは失墜し、金融資本すら獲得できなくなりました。
これに対してAppleは、評価資本で稼いだお金を、更なるイメージアップ、評価資本獲得のために再投資した。その結果、評価とお金の両方を得ることになりました。
本書を読んで感じたことは、「パラダイムシフト」と言ってはいますが、ベースとなっているやはりコミュニケーション。時代によって手段が違うだけで、その本質は同じです。
本質は変わらないという意味では「何か特別な変化が起きている」訳ではなく、インターネットという手段を通して自分の価値をもっともっと高め、人にもシェアできる方法を考えたら良いわけです。
インターネット、特にソーシャルメディアは個人と個人、もしくは個人と社会の価値観を共有するツールとなっております。インターネットが開放される以前は、価値観の形成はマスメディアによってもたらされていました。
しかし、ソーシャルメディアが個人によって「手軽な」ツールとなってきた現在においては、「ソーシャルメディアに参加している人が、より評価にさらされやすい状況にある」と言えるでしょう。良くも悪くもです。
匿名ブロガーやSNS利用者が、もの凄いたくさんの読者やフォロワーを集める一方で、リテラシーの無さを露呈するように、有名店の店員が著名人の来訪をつぶやいてしまったり、批判したりして炎上するという事件も後を絶ちません。
みんなが評価されやすい仕組みであると同時に、リスクも抱える事になります。でも、それをうまく活用して自分の評価を上げることができれば、会社に頼らずとも、ベンチャーのような大それた起業をしなくてもご飯を食べていけるようになります。
営業社員でなくても、「社内」ではなく、「社会」で評価されるチャンスのある世の中です。
楽しみましょう!