書評…男前経営論…かわいくて、男前な女社長の生き様
------------------
プロローグ 売り上げ170億円の超優良企業
第1章 だから女がついてくる――野口美佳の男前経営論
第2章 キャラのかぶる子は採用しない―ピーチ・ジョンの人事戦略
第3章 すぐに「キャッチコピー」が浮かぶ商品は売れる―ピーチ・ジョンの商品戦略
第4章 300万人の顧客リストを最大限に活かす―ピーチ・ジョンの販売戦略
第5章 必要な「ムダ」と不必要な「ムダ」を使い分ける―ピーチ・ジョンの財務戦略
第6章 野口美佳の絶対社長力!―良いリーダーになる8つの条件+α
エピローグ
------------------
<1>「データで語る男、イメージで語る女」
ピーチジョンは社員の9割が女性だそうで、敢えて女性の感性を活かす会社
作りをしているようですが、男性と女性の性差についての記述です。
例えば、男性が上司だった場合、過程をだらだら説明するより結論を先に言ったほうが評価される。その際に、数字などをきちんと挙げないと意見は通らない。
職場で男女がうまくいく方法は、男性は女性の物語を根気よく聞くことを心がける。
女性にとって自分の話を聞いてくれる人が、良い上司、良い恋人、良い夫であるという事かもしれません。
そして、商品作りの際には、「マーケティング」と称して、様々なデータを集めます。
それも非常に大事な行為ですが、野口さんがおっしゃるには、
「女性は、先月洋服を買ったから今月は下着を買わないとか
そんなことは考えない。欲しければ買う、それが女。」
これは本質を突いてます。
いかに、その感情に訴える商品を作るかに重点を置かれています。
ある種、既存の概念からすると勇気のいる事ですが、参考にしたい部分です。
<2>「記録はウソをつかない、記憶はウソをつく」
女性ならではの感性を大切にすると言っても、やはり経営には「数字」を抜きには語れません。
かつてはピ-チジョンも感性・感覚に頼り過ぎ、経営危機に陥った過去があるようです。
商品作りはカンに頼る部分が多いものの、経営に関しては財務諸表をきちんと読んで、特には冷酷にビジネスに徹する事が大切なようです。
<3>経営者に大切な「社長力」
1、ビジネスセンス・・・人の身になる力
2、巡り会いを逃さない・・・人との距離を詰めることができるか
3、セルフプロデュース・・・自分の見え方に気を配る
4、日々の努力・・・消費者の目線を忘れない
5、一貫性を持つ・・・社内的にも、対外的にも
6、ビジネスに徹する強さ・・・会社を守るための冷徹さ
7、余裕を失わない・・・精神的な余裕を失わない
8、ポジティブな性格・・・コンプレックスをバネに、逆境を力に
この本を読んで感じたのは、野口社長は「男前経営論」のタイトルどおり、自他共に認める男前です。
でも、どこか女性らしさや、ヌケている人間らしさ(失礼!)が感じられました。
そうした野口社長が持つ色んな表情が、社員を惹きつける要因かもしれません。
そして、「自分はスターではなく、プロデューサーのようなものだ」と仰っています。
要するに「裏方」だと。
仕事ができるスターを発掘し、それを適材適所で動かしていく。その事が社長業のやり甲斐だそうです。
メディアへの露出や、Twitterでのイメージからすると、とても意外でした。
そういった、社員や仲間への深い愛情も、「男前」と言われる所以でしょうか。
この著書は2005年のもので、今現在は野口さんは経営の一線から退かれています。
ピーチ・ジョン野口美佳社長が退任 ワコールが正式発表
リンク:Fashionsnap.com(http://ow.ly/6JyV1)
その分、今後は商品作りに集中されるようです。
今後の活躍にも注目しています!