シルタス!

“知る” に何かを “プラス” 〜 「人生ネタ的」何でもアリなブログ(今はこちらのメインブログで書いています。http://enrique5581.net/)

フェイスブック 若き天才の野望 … チラ見せの技術と戦略

【送料無料】フェイスブック 若き天才の野望

【送料無料】フェイスブック 若き天才の野望
価格:1,890円(税込、送料別)

私は、Facebookは半年ほど前から登録はしていたが、アクティブユーザーではなかった。 しかし、映画「ソーシャル・ネットワーク」を見てから、その経緯と設計思想に感銘を受けて、急速に興味を奪われた。 リンク:HP(http://goo.gl/vxJQ) 実際、アクティブユーザーになってからは、多くの同級生や旧友と再会し、リアルに食事もした。 その威力、サイトの充実ぶりは使えば使うほど素晴らしさを実感する。 中には、数十年捜索した生き別れの家族が、一瞬で発見された例もあるらしい。 私が興味深かったのは、この本がFacebook側に取材をして執筆されたものだという事だ。 どういう事かと言うと、映画「ソーシャル・ネットワーク」は、Facebookの立ち上げメンバーで、ゆくゆく訴訟によって和解にたどり着く、エドゥアルド・サベリンへの取材によって製作され、Facebook側は一切関与していないのだ。 リンク:Wikipediahttp://goo.gl/qqRJJ) 要するに、この映画と本を見ることで、Facebookの光と影のように、お互いの言い分が理解できるので、その描写の違いがとても興味深かった。 私が印象的だったのは3つ  <1> 戦略的にチラ見せをする事で、一気に勝負を賭けることが出来る  <2> 会社規模によって必要な人材とスキルは大きく変わる  <3> 信念は、実感を得て徐々に進化し、一気に加速する --------  <1> 戦略的にチラ見せをする事で、一気に勝負を賭けることが出来る  Facebookは目先の買収話、広告収入には一切興味を示さず、サイトの充実に腐心した。  その買収や広告に応じれば、自分たちだけではなく、多くの社員も億万長者になれたのにも関わらずだ。  しかも彼らが素晴らしいのは、サイトの拡張も慎重だった事だ。  まずは、ハーバード大学から。そして地域の大学へ。その次に近隣の大学。外国の大学。  そして、高校生、社会人。  ついにオープン化へ。  当初は排他的に始まったサイトの拡張は、サーバー負荷によるシステムダウンを考慮して、とても慎重に進められた。  こういったサイトは、サーバーがダウンしない事、表示スピードが速いことが絶対条件だった。  少しでもストレスを感じるような環境であれば、ユーザーは即座に退会してしまう、そういったシビアさを持っているためだった。  当初から使用できていた学生の間では、もはや日常的なツールになっており、その報道を受けて一般人は使用できる日を心待ちにしていた。  しかし、待てども待てども開放されない。  そして待ちに待ったオープンを向かえ、一気に中毒状態へはまり込む。  徐々に拡張したのがシステムの問題だったとはいえ、この戦略的「チラ見せ」が話題をさらい、熱狂的なユーザー獲得へつながったのではないかと私は思う。 --------  <2> 会社規模によって必要な人材とスキルは大きく変わる  スタートアップ企業の典型で、急速に会社が大きくなるに連れて、様々な人材と出会い、またすれ違っていった事が分かる。  一般企業でも、急速に伸びている企業では、往々にして社員の「出入り」が激しい。  その状態だけを見て、「あの会社はやばいんじゃないか?」という噂を聞くことがあるが、私は一概にそうは思わない。  (もちろん中には、単純なブラック企業もあるだろうが…)  なぜなら、その時の会社の規模や、状態によって人材に求めるスキルは全く変わるからだ。  私は、仕事における人の資質は大きく3つに分かれると思う。  (1)0を1にする資質(生み出す)  (2)1を100にする資質(拡大)  (3)100を維持運営する資質(標準化)  大きく3つに分けてみると分かりやすいが、この3つの資質はまったく違う資質なのだ。  起業当初に必要なのは(1)  拡大していくときに必要なのは(2)  運営していくときに必要なのは(3)  その過程の中では、大きな裁量を与えられ、賞賛を浴びる。  しかし、状況が一変すれば一気に窓際へと追いやられてしまう事も。  好き、嫌いの問題ではなく、その状況に対応するために、必要な人材は変わるのだ。  これでは人材の出入りが激しくてもしょうがないように思う。  Facebookも例外ではなかった。 --------  <3> 信念は、実感を得て徐々に進化し、一気に加速する  CEO、マーク・ザッカーバーグは、「透明性のある社会」を理想としている。  要するに、自分の全てを公開し、人付き合いをする。  隠し事が無く、不正もない。  不正が起ころうとしても、その透明性が故に、厳しい監視の下、排除に向かう。  そんな社会だろう。  しかし意外なことに、Facebook成長の過程で、Facebookの成功に対して一番疑心暗鬼だったのは彼自身だった。  驚く事に、彼はリスクマネージメントとして、他のビジネスモデルも同時進行させていたぐらいだった。  しかし、Facebookの急速な成長によって、思考が進化し、彼自身もまた進化した。  内向的な彼が、人へのプレゼンテーションがうまくなり、社員とのコミュニケーションも向上した。  また、Facebookの成功を彼自身が確信する事で、成功は一気に加速した。  こういった成功例を外から見るとき、「一人の天才がいて、最初から一貫してアイディアがまとまっていて、成功に導いた」ように思ってしまいがちだ。  しかし、彼らのアイディアや実行力が素晴らしいのは言うまでもないが、成功までの過程は普通の人と何ら変わらないのだ。  やっていく中で実感を得て、壁にもぶつかり、所々丸くなり、成功する。  こういった部分を知ると、人間味を感じる。  一般人も彼らから学べる事があるはずだ。 ソーシャルメディアの台頭によって、これから社会はますます透明化してくるだろう。 そうなった場合に不正は許されない。 ビジネスにおける日本社会特有の文化、根回し、ゴマすり、横取り、年功序列、派閥。 透明化によって全てが崩壊する可能性は十分にある。 こういった事も、「企業で生きていくためのスキル」ではあるが、今後こういった事に長けていこうとするのは非常に危険だ。 「企業人」としてではなく、本当の「個人」としてのスキルを磨いて、自立して生きていく時代が、本当に到来した事を実感した。